日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年6月19日会議を上手く進行するには?

 

★会議を改善したいという会社は多い


私たちは、日常の仕事の中で多くの時間を会議に費やしています。しかしながら、皆さんは自社の会議のあり方に満足されているでしょうか?
・会議が予定の時間に終わらない
・時間がかかる割に何も決まらない
・ほとんどの人が発言せずに座っているだけ
・各自が報告するだけの会になっている
このように、会議に関して改善したい点が少なからずあると思います。多くの時間を費やしているにもかかわらず効果的な会議ができていないのであれば、会議のあり方を改善することが会社全体の生産性を上げることにつながるはずです。
そこで、今回は会議を効率的かつ効果的に進めるために行うべきことについて解説します。



会議を上手に進めるためのポイントは、大きく分けて、『事前の準備』と会議が始まってからの『進行方法』の2つに分かれます。
まず『事前の準備』についてお話します。ポイントは次の2つです。

 

★適切な出席者に絞る


1つ目は、出席者を真に必要な人に絞ることです。
会議にやたら多くの人が集められるのはよくあることです。会議の主催者は、できるだけ多くの人が参加することに会議の意味がある、と思っているのかも知れません。また、「あの人にもこの人にもこの議論を聞かせておきたい」という親心があるのかも知れません。しかし、会議に参加している人はその間、業務をする時間が奪われます。従って、出席者の選別には気を配る必要があります。もし会議の内容を知っておいてもらいたいというだけであれば、後で議事録を配布すればよいでしょう。
会議の出席者は、その人が出席する理由や目的が明確な人だけに絞るべきです。そして可能であれば、出席者にその理由や目的を伝えておくとよいでしょう。それらが曖昧なまま出席しても時間の無駄になってしまうかも知れないからです。


★論点を明確にする


準備で必要なことの2つ目は、議論の論点を明確にしておくことです。

◎論点が曖昧な会議が多い

あなたの会社では、会議でほとんど意見が出ないということはありませんか?
また、その逆で、色々と意見は出るけど参加者が好き勝手なことを言うので全然議論がまとまらない、ということはありませんか?
これらの原因には色々ありますが、私は『何を議論するのかが曖昧』ということが最も大きな原因だと思っています。何について意見を言えばいいのかハッキリしなければ発言はし難くなります。あるいは、参加者が何について発言すればいいか理解しないまま思いついたことを話してしまうと議論の収拾がつかなくなります。
『会議で議論すべきこと』を『論点』と言います。会議を進行する準備として、この『論点』を明確にすることがとても重要なのです。


◎意見が出やすい論点とは

先日、ある会議で次のような議案が提示されました。
・部門の生産性向上のために、課の数を増やして1つの課の所属員を少なくし、課長が各社員の仕事に目が届くようにしたい
起案者から議案の説明があった後、議長が「では皆さん、ご意見をお願いします」と促しましたが誰も発言しません。仕方ないので議長から指名するとポツポツと意見を言い始め、やがて発言が増えてきました。しかし、話があちらこちらに飛んでしまい、結局、結論が出ないまま終わりました。
上の例では、組織変更の案は提示されましたが、具体的な論点が示されていないために意見が出にくかったのです。例えば、次のような論点が提示されれば意見は言いやすかったはずです。
・当部門の生産性向上は、優先的に解決すべき問題か
・そうだとすれば、現状生産性が低い原因は何か
・その原因を解消する施策として組織変更は有効か
・有効だとすれば、今回示された変更方法以外にないか、この変更がベストか
これでも抽象的かも知れませんが、論点を具体的に分けることで意見は格段に言いやすくなります。
更に言えば、これらの論点について起案者は原案を作成すべきです。
1つ目の論点として例示した『生産性向上は部門の優先課題か』であれば、部門の解決すべき課題を並べ、その中でも生産性向上の優先順位が高い、ということを客観的に資料で示すのです。そうすれば、出席者は原案に対してYes、Noで判断でき、意見も出やすくなります。

★会議の前に雑談をする


では次に、始まってからの『進行方法』のポイントについてお話します。ポイントは以下の3つです。

1つ目は、可能であれば会議の前に雑談をすることです。
会議開始前に出席者同士で5分程度、雑談をする時間を設けるのです。会議の出席者は意見を求められても、発言すること自体にハードルを感じて「自分が発言しなくても誰か話すだろう」などと思ってしまいます。しかし、一旦発言するとこのハードルが下がるのでその人はその後も発言するようになります。つまり、最初に話すハードルを取り除けば発言はしやすくなるのです。会議の前の雑談をすると話をすることで気持ちがほぐれます。話すことに対するハードルを下げる効果があるので、ぜひ試してみてください。

 

★会議を質問しながら進める


進行ポイントの2つ目は、議長は会議を質問しながら進めることです。
発言が少ない会議で議長が、その沈黙を埋めようとして提案の趣旨や自分の意見を長々と話しているのを時々見かけます。しかし、その発言は沈黙を埋めるためのものであり、会議を有効なものにするためのものではありません。会議は参加者が発言することで成り立ちます。であれば、参加者の発言を促すような質問をすることが議長の取るべき行動だと思います。


◎具体的な質問を心がける

では、議長はどういう質問をすればいいのでしょうか?
例えば、会議のテーマが「会社創立50周年記念に何をすべきか?」だったとします。この会議で、議長がいきなり「何をすべきだと思いますか?」と質問したら、参加者は「う~ん」という顔をしてなかなか発言しないでしょう。それは、質問が抽象的すぎるからです。
前述したように、論点を具体的にすべきです。質問も同様に具体的にしないと意見は言えません。どんな話をする場合でも、人は頭の中で具体的にイメージできて、はじめて話すことができます。上の例のような「何をすべきか」という質問は抽象度が高すぎて参加者の頭の中に具体的なイメージが浮かびません。なので発言がしにくいのです。従って、議長は、論点が具体的にイメージできるように質問をするとよいでしょう。
「50周年記念はお客様向け、社員向けのどちらのイベントとして考えるべきでしょうか?」
「お客様向けの場合、どういうことをお客様にアピールすればよいでしょうか?」
「社員向けの場合、この記念行事などを通じて社員にどういうことを感じて欲しいでしょうか?」
これくらいの具体的な質問でスタートして、出てきた意見をもとにさらに論点を具体的にしていくと有意義な会議にすることができます。


★終了時間を守る


そして3つ目は『終了時間を守る』ということです。
これは会議を効率的かつ効果的なものにするために非常に重要なことです。終了時間を決めずに会議をしたり、決めていてもダラダラと延長してなかなか時間通りに終わらない、という会社がとても多いようです。私は自分がコントロールする会議やセミナーはどんなことがあっても時間通りに終わらせます。
但し、単に「時間が来たからこれで終わりましょう」と途中でぶった切るのではありません。残りの時間を見ながらこの会議の落とし所を常に考えながら進行しています。例えば、当初想定していた結論まで出せそうにないようなら、途中で「後20分ですので、今日は原案のメリット・デメリットを確認して終わりにしましょう」と会議のゴールを変更して時間通りに終わらせます。この意識を持つと持たないとでは会議の効率が驚くほど違ってきます。
会議を時間通りに終わらせるには事前の準備と始まってからの議論のコントロールの両方が不可欠です。私は上のような準備、調整を可能な限り行って会議を時間通りに終わらせるようにしています。はじめは慣れないかも知れませんが、続けていくうちに徐々にコントロールできるようになってきます。ぜひチャレンジしてみてください。


★効率的・効果的な会議の進め方を一緒に考えましょう!


以上、今回は会議の進行についてお話しました。私は年3回、アタックスグループのセミナーで、会議を効率的・効果的に進めるファシリテーション研修の講師を務めています。今回お話したことも含めて解説した後、グループワークで体感してもらうことで進め方のコツをつかんでいただいています。次回は7月28日(金)に開催します。ぜひご参加ください!

 

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